シロアリは社会性の発達した生き物で、集団で生活を行っています。
ここではシロアリの生態について説明します。
シロアリについて
シロアリは森林の中では枯れ木や倒木を餌として生きており、自然界の物資循環のための重要な役割を担っています。
ところが、シロアリは枯れ木と人間の住む家との違いが判りませんので、
シロアリが家の土台や柱に辿り着くと、餌場と認識してフェロモンを発して仲間を呼び、たちまち人の住む家を食べていってしまいます。
シロアリ被害から住まいを護るための知識として、シロアリの生態について知っておきましょう。
シロアリの種類
世界には、約2900種類ものシロアリがいると言われています。
現在、日本には23種類のシロアリが確認されていますが、すべてのシロアリが建物に影響があるわけではありません。
日本で建物に被害を及ぼすシロアリは
地下シロアリのヤマトシロアリ、イエシロアリ、カンモンシロアリ
乾材シロアリの、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリです。
ここでは日本で建物に被害を及ぼす主なシロアリで
ヤマトシロアリとイエシロアリについて説明します。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは日本全土に分布するシロアリです。
湿度の高い環境を好み、営巣する傾向があります。
ヤマトシロアリは少数の職蟻から巣を再生する能力があり、被害場所自体が営巣と言われます。
そのため、駆除を行う際には、生態の特徴を理解した処理を行う必要があります。
イエシロアリ
イエシロアリは、一つの巣の構成員が100万匹以上になることもあり、
他のシロアリと比べて、食害のスピードが非常に速く、加害する範囲も広い特徴があります。
一カ所の侵入経路から家全体に被害が及ぶことがあります。
一部の地域に限られていますが、温暖化によって生息場所を拡げていますので注意が必要です。
シロアリ被害
シロアリはほとんどの場合で、地中から建物に侵入をしてきます。
その際に、基礎や束などの建物の立ち上がりに、蟻道(ギドウ)と呼ばれる、土や糞を盛って作ったトンネル状の道を作ります。
建物に侵入をした後は、土台や柱の木材中を行き来して食害場所を拡げていきます。
イエシロアリでは、建物の壁の中や天井裏などに本巣との中継地点として分巣を作ることも珍しくありません。
シロアリは、木材の柔らかい早材から年輪に沿って食害していく傾向があります。
木材中を行き来するため、見た目では被害が分かりにくいですが、
長い間シロアリ被害を放置しておくと、著しく木材が劣化することがあります。
また、シロアリは木材中のセルロースを栄養としており、
セルロースの含まれる木質繊維であれば、餌場としますので、畳や段ボール、衣類、家具などへの被害ももたらすことがあります。
被害は木質繊維に限らず、シロアリが電気配線を齧って停電になるなどの被害も珍しくありません。
シロアリ被害の4つの影響
建物の耐震性
シロアリ被害を放置しておくと、部位や被害程度によっては、建物の強度低下によって地震などの自然災害時の安全性に影響を及ぼします。
資産価値の減損
シロアリ被害に遭うことで、建物の資産価値に影響を及ぼします。
修復にかかる費用の出費
シロアリ被害に遭った柱などの交換にかかる費用は、部位や程度によっては数百万円以上になることもあります。
近隣関係の悪化
羽アリの大量発生によって近所との関係が悪化することがあります。
羽アリについて
羽アリとは
シロアリは、巣が成長してある時期になると、一部のシロアリは巣別れのために羽を生やして飛び立ちます。
この時に飛び立つ羽を生やしたシロアリを有翅虫、「羽アリ」と呼んでおり、シロアリの羽アリが一斉に飛び立つことを郡飛(ぐんび)や結婚飛行と言われています。
シロアリの羽アリが飛行する時間は短く、数十分程度です。
陸に降りた後は、羽を落として、雄雌が対になって、営巣に適した場所を探します。
ほとんどの羽アリが、営巣する前に外敵の餌となったり、乾燥して死んでしまいますが、
運よく生き延びた一部の雄雌のカップルは、切り株の近くなど営巣に適した場所を見つけると雄雌が潜り、繁殖活動を始め、やがて新たな大家族を築きます。
シロアリとクロアリの羽アリの見分け方
羽アリはシロアリだけでなく、クロアリの羽アリも存在します。
シロアリは、木材を食べますが、クロアリは木材は食べません。
同じ「アリ」という名前が付いていますが、シロアリはゴキブリの仲間で「蟻」ではありません。
したがいまして、もしも、家の中で羽アリが発生したときには、羽アリが、シロアリかクロアリかを判断する必要があります。
上の図のように、シロアリの羽アリは、
・前後の羽の大きさが同じ
・胴体が寸胴
・触角が数珠状
である他、「羽を落とす」特徴があります。
どれかに当てはまるとシロアリの可能性が考えられます。
羽アリが発生した時の対処方法
羽アリがシロアリかクロアリかを確認して、羽アリがシロアリの場合の対処法です。
殺虫剤を発生(被害)場所に撒いてはいけません
シロアリは数万匹以上の大家族で生活しています。
発生個所に殺虫剤を撒いても、他のシロアリが新しい道を作って被害が拡大することが珍しくありません。
また、殺虫剤の散布によってシロアリが警戒をしてしまい駆除が難航することもあります。
羽アリ大量発生の場合は専門の業者に相談をしましょう
羽アリが室内に大量に発生している場合は、シロアリ被害の可能性が高くなります。
早めに原因解明と対策を専門の業者に相談しましょう。
部分的に被害ヵ所へ殺虫剤を撒いても逆効果になることがほとんどです。
シロアリの駆除は専門の業者に依頼をすることが間違いありません。